ねがぽじ 〜お兄ちゃんと呼ばないでっ!!〜 感想

タイトルのえちゲーム、女装主人公モノの元祖、という触れ込みでツイートが回ってきたので調べてみたところ、DLsiteでセール込みですが1000円ちょいだったので軽い気持ちでプレイしてみたら想像以上に良かったため、備忘録代わりに簡単に感想を。

 

物語は主人公・広場まひるの性別が男と判明するところから始まります。

いつもまひるは控えめな胸を恥じて、体育の授業前も誰にも見られないよう着替えていましたが、ふとしたきっかけで裸に剥かれてしまい、ついに股間を見られてしまう…(この辺の流れは実にアホで良いです)

恐らくアンドロゲン不応症(という実在の先天性疾患)をモデルにした病気()っぽいですけど、もっと単純に男体化TSモノとして考えても良いかもしれません。なので彼女の性自認は女性です。

病院での治療を経て帰ってきたまひるは、自認女性のため制服も女子のまんまだったりで、何も変わらず。そんな彼女を待つのは、異物を許さない学校社会と、それでも彼女を支え続ける友人たちだったざっくりそんなお話。

 

普通この手の女装主人公モノって、あくまで主人公の自認は男だし、性格もどちらかといえばプレイヤーが感情移入しやすい、つまり依代として邪魔にならないくらいには真っ当な(特徴のない)パーソナリティであることが多い気がします。

でも本作の主人公・まひるはそもそも自認が女性な上に、作中で最も素っ頓狂な、いわばアホの子みたいなキャラクター。つまり、主人公自体がヒロイン的で、プレイヤーの依代としての機能をあまり持っていないと思いました。これはなかなか面白いなあと。えちゲームを数やってないからこその感想かもですが。

そして、プレイした人みんなが言うように、やっぱりまひるが1番可愛い!で、プレイヤーがそう思う理由はちゃんとあって、圧倒的にモノローグが多い。普通えちゲームで主人公のモノローグなんて短い方が良いはずだけど(状況説明・ヒロインへの感情移入の補助・ギャグ、くらいしか機能がないはず)、本作は主人公がヒロインでもあるので、彼女がどういう人間なのか、何を見て何を考えどうするのか、をモノローグでじっくり読まされることで、彼女にガンガン感情移入してしまう作りになってると思います。彼女は作中通してひどい目にも遭うけど、そんな状況の中だからこそ彼女の明るく強い生き方が独白を通して直に伝わってきます。普通えちゲームでここまで主観視点でヒロインの心理描写がされることはない気がする。

もちろん百合ゲーなんかだとこういった要素は普通なんでしょうけど、プレイヤーはまひるとチンポを通して共犯関係にもなるので(このゲームにおける主人公とプレイヤーの関係は共犯、が一番近いように思う)、主人公は完全に他者ではないってのがよりプレイヤーをより感情移入させて良いんじゃないでしょうか。

 

上記あらすじにある通り、いじめが作品のテーマにもなってくるので、わりとハードな描写もあるんですけど、まひるの底抜けに明るい性格と、友人とのやり取りが小気味よくて凄く楽しいので、全然暗くなりすぎず、むしろコメディ気味の部分も多い。所謂鬱のための鬱描写みたいなのが全然なく品が良いです。鬱ゲーって言われてるみたいだけど、作品のテーマがそこにはないので全然そうではないと思う。

まひるの妹のセリフに「(まひるの事を)姉とも兄とも思っていない」というのがあり、まひるがあまりにもしっかりしてないから、という文脈のものではあるんだけど、これこそが本作のテーマを表していると思います。

まひるの属性が女男と変化して(本人自体は何も変わってないにも関わらず)、属性で判断する人間は彼女を迫害しますが、彼女を支える友人は属性ではなく彼女自身を見ている。その対比が本作の一貫したテーマかなと。実際、ヒロインはもちろん、本来悪友ポジションの男キャラクターでさえ、性別を超えてまひるのことが大好きです。そしてそれはプレイヤーも同じなので、話の展開にとても説得力があるなと思います。

 

結構真面目に書いてしまったけど、もちろん本作はちゃんと萌え萌えです!

まず、何より声優の演技が素晴らしい。とくにまひるは演技がイキイキしてて、演者非公開なのがほんと勿体ないと思う

その上各キャラの掘り下げや描きこみもしっかりしてるので(結構ベタベタな設定は多いけど)、キャラみんなにちゃんと血が通ってる感じがして、彼らのわちゃわちゃした掛け合いはほんとに楽しいです。日常パートのちょっとしたやりとりとかが良いですね。

実際主人公もアホの子で女の子キャラなので、えちゲームというよりきらら漫画を読んでるような感覚にもなります。そこが自分には良かったのかも。

(実質)メインヒロインの香澄ルートではシリアスでファンタジーな超展開になりますが、それまでのコメディパートでキャラクターにしっかり感情移入できているので、個人的にはそれも良かったです。ただ救いのないエンドなので、パラレルな世界線だと考えるようにはしましたけど

 

まあ、正直2001年ということを加味しても古いし、絵もクセある感じだし(ヒロインの立ち絵でらおんパースみたいになってるのもある…)、シナリオも完璧とは言えないとは思うので、万人には決してオススメできないですけど、個人的には心の一作となりました。

なんせDLsiteでかなり安く買えるので、お暇な方はプレイしてみては。

 

SIGHの旧ブログよろしくポーザー諸君にもオススメするなら、本作はおにまい作者ねことうふ先生の心の作品でもあるみたいです。Play or DIE!!!

 

以下URLから買えます。

https://play.dlsite.com/work/VJ011851/tree